第11章 縁というもの
『今日はハニートーストもいいなぁ』
「立原、手前も手伝え」
「え!?俺何するんすか!?」
中也さんのまさかの提案に、私の機嫌は一気に良くなった。
『立原も来るの!?やった、食べる食べる!!』
「だからどういう事なのかって「こいつと一緒に甘いもんを食うだけだ」三十五個も!!?いつもより多くないすか!?」
立原の突っ込みを聞いて、私と中也さんがピタリと止まる。
そしてキョトンと目を合わせてから、何言ってんの?と立原の方に揃って目を向ける。
『私、定期的に摂取してるし』
「最近は作ってねえ分外で食ってるけどな」
「一日にあの量を何回も…どうりでバイキングであんな量だったわけっすね」
ドアノブどうすればいいですかと尋ねると、お取り返しておきますねと黒服さん。
悪い事をした、イライラしていたとはいえお仕事を増やしてしまうだなんて。
「ったく、心配しなくても大丈夫だって、な?」
『私が来たのに気付かなかったくせに?』
「そ、それはその…ほら、休みの日程組んでて色々書類作ってたから」
『ソラさんには受け答えしっかりしてたのにねえ』
ちら、とソラさんの方を見据えると、何を思ったのか少しビクリと反応するソラさん。
貴女には渡さない…うん、そうだね。
中也さんは私のなんだから……それも勿論ある。
だけど、それより何より、貴女なんかの思惑通りには絶対にさせない。
何を考えているのか知らないけれど、この人に手を出しでもしたら、すぐに死ぬより辛い苦しみを味あわせてあげるから。
「蝶…?」
「ち、蝶…さん?」
『……白石です。改めて、遅くなりましたけどよろしくお願いしますね?』
____シエルさん
ボソリと、彼女の耳元に口を寄せて呟いた。
その瞬間に相手は冷や汗を流して、目を見開いて私を見、少し後ずさる。
「い、いきなり近…っ、何を……?」
『仲良くしましょうソラさん…仲良く出来るように、していただきたいとこですね』
先に言っておきますけど、と中也さんとソラさんの間に入って、目を細めてニコリと笑う。
『中也さんにだけは、手、出さないようにして下さいね?この人の事を私から取るような真似でもすれば、多分すぐに貴女の事を私が殺しに行きますから』
「手、って…ちゃんと触れずにッ」
『触れずに?いい度胸してますね。何かしたら覚悟してて下さいよ』