第11章 縁というもの
「え…」
『あら』
聞こえた音と共に鳴り響くサイレン。
執務室の警備システムが作動したのか。
近くにいた黒服さん達が駆けつけてきて、一斉に目を丸くしてこちらに向けられる。
「侵、入…者……っ?」
『あ、ごめんなさい。ちょっと今イライラしてて…ドアノブ握ったら取れちゃいました』
「「「ヒィイッ!!!?」」」
片手にそれを持ったままどうしようかと考えていると、中也さんの執務室が勢い良く開けられる。
「なんだ!?いったいな……に、が…………」
「侵入者ですか!?すぐに排除を「手前マジで黙ってろ…ッ」か、幹部!?」
私を見てフリーズする中也さん。
というか、私が手に持っているドアノブを見て、だ。
黒服さん達や立原は、目を輝かせながら中也さんに顔を向けている。
『……ごきげんよう、中也さん。気分はいかがでした?私のいないところでさぞかし羽を伸ばせたでしょう?』
「ち、蝶…さん?俺、なんかしたか?」
『いいえ、何も?別に中也さんの事を責めてるわけじゃあないんですよ、別に。ごめんなさいね、お邪魔してしまったみたいで』
「邪魔なんかしてねえよ!?つかお前が来るの待って『ソラさんと二人で?二人っきりで??』触れられてねえから!!な!!?」
中也さんの言葉に、まあ昨日よりは安心した…ような気がしないこともない。
ていうか触れられてないとか当たり前じゃないですか、本当に殺しますよそんな事ばかりしてたら。
『…中也さんの執務室で二人っきりでいたのに?』
「だからそれはこいつのお節介で」
『押しに流されて一緒にいちゃうんだ。私が来てる気配も察知できないくらいに夢中になってたんだ』
「だあああっ、悪かったよもう!!ごめんって!!!二十五個!!」
『三十五個』
「承知いたしました!!!」
中也さん…自分達の上司の姿を見て、わけもわからずその様子に驚く周り。
「え、あの…?なんでそんなに焦って…」
「承知いたしましたって……え、三十五個って?」
立原とソラさんの声にグルッと中也さんは顔を向けて、青い顔で苦笑いになりながら声にする。
「立原、手前何言ってやがんだよ、うちの蝶が妬いて家出でもしたらどうすんだ」
「家出!?」
「蝶の言う事にゃ承知しねえとだろ…三十五個は三十五個だよ、プリンとケーキとアイスとパフェだな」
「三十五個…え……」