第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「あ、帰ったわね。そろそろ荷物まとめときなさいよ?」
席にたどり着くとイリーナ先生から準備の指示が出された。
『はーい…あ、ねえ中也さん。私、とりあえず着いたらどうすればいいの?』
「あ?あー…どうだろう、やっぱ一回そっちの社長に顔見せに行っといたほうがいいんじゃねぇか?」
やっぱりそうだよね、と思いつつも、武装探偵社という名前を伏せてくれた中也さんに心の中で感謝する。
「うん、蝶ちゃんのことに関しては、そちらにとやかく言うつもりは無いからね。…まあでも、どうしてもこっちに戻ってきたくなったら、何時でも戻ってこればいいんだからね?それでなくとも、たまには顔を見せに来てくれると僕も嬉しいからさ。」
首領の言葉は本当に、いつも心に染みてくる。
『はい、また伺わせていただきますね、エリスちゃんのデザートと一緒に!』
「天使…っ!」
あ、前言撤回、やっぱり何も聞こえません。
東京駅に到着したが、E組だということで本校舎の生徒とは違い、バスが出ないことになっている。
つまりはここで解散というわけだ。
殺せんせーや烏間先生から一言ずつ締めの言葉があり、後は帰るだけ……というところで、首領から爆弾投下。
そう、また首領から爆弾投下。
「ねえねえ蝶ちゃん、折角なんだし、中原くんと駅巡りでもしてきなよ。今日仕事無いし、ここから私はヘリで帰るからさ。」
『え、駅巡りですか、?』
その話に乗り気になったのは、意外にも中也さんの方だった。
「良いんですか首領?その提案は物凄く有難いですけれど、警護の方もありますし…」
「ああ、それなら、ヘリで広津さん達に来てもらっているから大丈夫だよ。それに君は、蝶ちゃんと出来るだけ一緒にいてあげなさい。また以前のような生活リズムになってもらっても構わないから……何かあった時、必ず彼女を守るんだ。勿論、君も死んではいけない」
「!…分かりました、ありがとうございます」
中也さんと首領は声を小さくしたため、最後の方の話は聞き取れなかった。
「うーん、じゃあとりあえず中原くんは、蝶ちゃんに着いて横浜に帰っておいでよ。ちゃーんと楽しんで帰ってきてね、デートから♡」
『デー……ト、?』
「はい」
『え、中也さん!!?』
思いもよらなかった中也さんの返しに、私だけでなく首領まで驚きを隠せないでいた。