第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
「俺の頼みだ、頼む蝶…お前を苦しめてんのが俺なら、俺は自分を殺したくなる。お前には幸せでいてもらわねぇと、俺が俺じゃなくなっちまう」
ありのままの言葉だ。
こいつにだけは、嘘なんかつけっこねぇ。
『私の中也さんに甘えたい欲求は、四年間蓄積された分もあって、凄いんですよ?いつか無意識にストーキングでもして軍警に引き渡されないか心配になるくらいです。』
ストーキングと聞いて本気でやりそうな気はしたが、蝶ならそれくらいのこと何でもねえ。
いつだって、来たい時に俺の元に来ればいい。
「どんときやがれ、俺だって、お前には頼られなかったりするより、甘えてきて欲しいんだよ…」
『そ、ですか…じゃ、今日はいっぱい手繋ぎましょ?それで美味しいものも食べて、また一緒に住む準備も』
手を繋ぐ。
昨日も言ってたな、そういや。
そこで脳裏を過ぎったのは、首領の言葉だった。
蝶は一人の女性……つい先程自分自身で味わった事だ。
しかし、例え周りにとやかく言われようとも、俺の気持ちは揺らがない。
手を繋ぐ行為は、嫌なわけでもないし、寧ろ嬉しいお誘いな訳なのだが、少し躊躇してしまうところも勿論ある。
やはりいつも気にしてしまうところは、年齢と蝶の気持ち。
あいつはきっと、他のやつよりも俺に懐いているから、ああいう大胆な発言をするのだろう。
四年間離れていた分、その辺の感覚は人より薄いはずだ。
よくある、小さい子供が父親と結婚したいというような…そういった類のものだろう。
しかし俺と来たら何だ?
突然女らしくなったとはいえ、まだまだ成長しきっていないあどけなさの残るこの娘に並々ならぬ愛情を持ち合わせるどころか、胸が高鳴って俺のものにしてしまいたくさえなる。
寧ろ、俺が一番こいつを女として見ると、危ないんだ。
俺の中でまだ子供でいてくれねぇと、いつか本気で、故意に同意もなく手を出してしまいそうで少し恐ろしい。
蝶がされて嫌がるようなことはしたくない。
こいつの中で、中原中也という存在が、男として存在するだなんてことはないだろうから。
だから蝶
「手、か…そうだな、いいぞ。……と、そうだ。そろそろ戻らねぇと到着までもうちょっとだったんだ。」
俺は出来るだけ押さえるように自分を律するから
お前が色々と望んでくれることに喜ぶ俺を、どうか許してはくれないだろうか。