第11章 縁というもの
でも、とりあえず風呂上がってからなと中也さんに横抱きにされ、浴槽から上がった。
『……っ、ね、まだ…ッ?』
「髪乾かさねえと風邪ひくだろ。それにここだとお前感じやすいから危ねぇし…っ!?」
中也さんの声に能力を応用させて、髪の水分を一滴たりとも残さず取り除いた。
私の分も…中也さんの分も。
「……お前、俺に乾かしてほしさにこれ黙ってやがったな?」
『中也さんにしてほしかった…ね、してっ……乾いたからッ』
横抱きにされたまま泣きつくように抱き着くと、中也さんは私のおでこにキスをして、濡れたタオルを外して新しいタオルをかけてくれた。
「…本当、可愛い。ちょっと待ってろ、今日は約束通り、いい事してやるから……いつもより気持ちよくしてやるよ」
中也さんの声にゾクリとして手に力が少し入った。
期待感。
中也さんのせいだった私の頭。
『……こういう事、してほしいって思うの…ダメな子じゃない……?いやらしい事ばっかり、考えちゃうの…っ』
「全然。寧ろそうなるようにしてんだから…俺はお前のそういうところも含めて可愛いっつってんだよ。つかこんな程度のもんでそこまで悩むあたりがお前らしいし、余計可愛い」
『い、言い過ぎッ…!』
背中に触れた、シーツの感覚。
ベッドの上だ。
ほんのりとベッドライトに照らされただけの、中也さんの寝室。
中也さんはいつの間にかズボンだけ履いていて、だけど初めてちゃんと見るその上半身に…私の知らない、成長して男の人になった中也さんの身体に、ドクンと胸が高鳴った。
……かっこいい。
こんな身体になって…私を護ってくれてるのか。
思わず目を離せなくなるほど素敵な身体つき…こんなに男の人を感じさせられる事って、あまりない。
「どうしたよ、そんなに見て。野郎の身体付きがそんなに気になるか?」
『!!…だ、って……かっこい…から』
「……お前、今回マジで覚悟しとけ。そんな煽ってっと容赦してやれねえぞ」
容赦とかしてくれないくせに。
そんな中也さんは私の腕をサラ、と指でなぞり始める。
それだけでも息が短くなってしまう程、今私の頭はおかしい事になってる。
肩が跳ねちゃうくらいに、この人に触れられるのが気持ちいい。
この感じるという感覚が気持ちいいというのは、身体がとっくに覚えた事…中也さんに、覚えさせられた事だ。