第11章 縁というもの
腕をゆっくりと撫でて、その手が次第に指の方に絡められ、慈しむようにキスも落とされて、そのまま唇でもなぞられる。
これ、何…最近ちょっとされてたような気がする。
でもこんな触れられ方、した事ない。
こんなに優しい触れられ方、知らない。
『……っ、ん………中也さ…ッあっ…、』
数分間手に触れていたのが脇腹に移動してきて、触れただけなのに腰が跳ねた。
嘘、感じやすい感じやすいって言われてても、こんな事でそこまで反応しちゃうなんて…何、今日なんかおかしい。
身体が火照って仕方ない、ドキドキしてゾクゾクして、ビクビク跳ねて仕方が無い。
脇腹を撫でていた手がピタリと止まって、それに荒く息を吐いて、え、と声を漏らす。
「撫でられんの、本当に好きだな…今日は服着てねえし、いつもよりよくしてやる。後ろ向いてみろ」
『後ろ…っ?み、られるのやぁ…』
「さっきも見てたろ」
『今は違、うの…ッ、中也さんに見られるの、やあっ…』
恥ずかしさと自信のなさに、ここまできて怖気付く。
胸以外に肉が無いと、今日は言われたばかりだった。
魅力がないのかもしれない…私の身体じゃ、ガッカリされてるのかもしれない。
心配事が募って涙目になる。
わがままだろうか、流石に中也さんも嫌になるだろうか。
でも、好きな人に身体を見て失望されたくないじゃない。
「……怖くねえから。大丈夫だ、怖くない」
『っ!…で、も……』
「さっき見てもやっぱり思っちまったけど、お前の身体は綺麗だよ」
中也さんの声が酷く胸に響いた。
こんなところで綺麗って言うのもずるい…そうやって私に言い聞かせるのがうまいとこもずるい。
涙を指で優しく拭ってから、中也さんは頭を撫でる。
これが好き、すっごく安心する…そしてそれと一緒に、この人に本能が従ってしまう。
中也さんが言うところの愛玩動物…飼い慣らされた猫のように、従順になってしまう。
少し目を伏せてからゆっくりとうつ伏せになって、恥ずかしさに少し脚を曲げて縮こまった。
「…可愛い」
すると中也さんが項にキスを落としてきて、突然のそこへの刺激に背中が大きく仰け反った。
首、最近触られてなかったから油断してた…
その唇が下に降りて、それと一緒に肩や肩甲骨、そして背筋をキスされながら撫でられる。
撫でられてるのって、こんな風になっちゃうものだったの…?