第11章 縁というもの
頭の中で葛藤している内にも終わってしまって、中也さんの手が私から離れてしまう。
中也さんは私なんかよりも手際が良くていつもより早く終わってしまった。
どんな形でも、中也さんの手が触れているのでなんとか耐えてたのに。
離れられたらまた切ないじゃない…嫌な自分が顔を見せる。
どうしろっていうのよ、こんな気持ち。
どうすればいいのよ、こんな身体。
中也さんに支持されて浴槽にまた移動する。
多分私が恥ずかしがってるのを分かってて先に入らせてくれたんだ。
私の事しか考えていないような中也さんにこんな事…触れて欲しい……触ってほしい。
触って…
中也さんが私の後ろから浴槽に入り、二人で入っても少し余裕のある浴槽で、また中也さんが私の背中を見ているような気がする。
それさえもが私を変な気分にさせるのに。
『…ね、え……中也さん…』
「ん?なんだ、何でも言ってみろ」
『なん、でも…ッ……ギュ、ってして……っ?』
「……了解」
浴槽のお湯を波立たせながら、中也さんは私に手を回す。
座っているからか、腕の上から、お腹周りをギュッと抱きしめられた。
変、ドキドキするのに、恥ずかしいのに心地いい。
何も身にまとっていない中也さんに抱き寄せられて、素肌が密着してあたたかい。
あたたかくって…………そしてこの感覚が何よりも、もっと私の頭をおかしくさせる。
ダメだよ蝶、そんな事ばっかり。
抱きしめられて余計に意識してどうするの。
「…!ち、蝶?おまっ……!」
中也さんの方に上体を向けて、何も考えずに中也さんの首元にだきついた。
恥ずかしいの…でも、触れていたかったの。
私が持っていたタオルを隔てて、胸が中也さんにあたって変形する。
それでもかわまない、そういう事をしなくてもいいから……どうしようもなくなった私の身体に触れててください…触れさせて、下さい。
『お願い、します……っ、触れて、たいの…ッ、中也さんに………っ!?ひゃ、ぁ…ッぅ』
背中を、中也さんの指がツツ、となぞる。
なんでまたそういう事するの…なんでまた、弱いところをそうやって触ってくるの。
我慢してるのに、ずっとずっと頑張って我慢してるのに。
『な、んでッ、そんな風に……っあ、やぁッ…』
「なんでって…触ってほしかっただろ?」
『!!?う、そ……ッ、ぁ…、んんんっ…!』
バレてた…?