第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
考えれば考えるほど、罪悪感とやってしまったという思いが頭の中をかけ巡る。
穴があったら入りたい。
いや、いっそそのまま誰か俺を埋めてくれ。
放心状態になったように謝る俺は、蝶の反応の変化で異変に気がついた。
『やめて…殺すとか、言わないで……私の事置いてかないでっ!』
突然、蝶の方から俺に抱き着いてくる。
明らかに様子がおかしいし、今こいつの体が震えてんのは、どう考えても何かに恐怖しているからだ。
そして、行きの新幹線での盗聴器から聴こえた声を思い出した。
「蝶、?お前まさか、っ!」
それだけじゃない。昨日寝てた時だって、内容はどうであれ俺絡みで不安にさせて、悩ませていたような寝言だってあったじゃないか。
『……変な夢見たの、一緒にいた中也さんと離れ離れになって、近くに誰かいてっ…それで、それでっ…』
必死に夢の内容を訴える蝶からは、決して分かりやすいとは言えないような説明が織り成される。
『……私、中也さんに見捨てられちゃった…。ごめんなさい、私がいいこにしてないから、変な想像して、中也さん困らせて、…中也さんは、私の事、置いてかないはずだって…っ』
しかし、この言葉は妙に耳に残った。
俺が、見捨てる?こいつを?
そんなこと、あるはずがねえし、絶対にあってはならない事だ。
俺の胸で泣きじゃくる小さな俺の誇りを安心させるべく、頭を撫でて抱きしめ返す。
蝶は、これが一番落ち着くはずだ。
「俺はお前の事、絶対にもう離さねぇから。」
少しの間落ち着かせて、本題に入る。
途中色々とあったものの、やはり俺に関係することだったのは確かだ。
再会は出来たものの、まだまだこいつの臆病になっちまった部分は拭えきれないみたいだし、しばらく会ってなかったせいでかまた遠慮するようになってる。
「……昨日、もっと俺に何か言いたかったんじゃないのか?もっと、甘えたい事もあったんじゃないのか?蝶を不安にさせて、そんな夢まで見させてるのは、俺なんじゃないか?」
俺に作り笑いなんかするようになりやがって。
「分かるんだよ、お前の事だけは。考えてることまで読み取れなくとも、変な所で俺に気ぃ遣っちまう奴なんだお前は。笑ってても、苦しんでる時がある。」
せめて俺にだけでも…いいや俺にはそんことしないでくれよ。
_________悲しくなるじゃねぇか。