第11章 縁というもの
スルリとシャツを肩から脱がされて、少し震えながらもなんとか腕を動かして脱ぎきった。
流石に明るいところでは恥ずかしすぎてすぐにタオルで隠すのだけれど、そうすると中也さんは異能で私を少しだけ浮かせる。
ホットパンツに手をかけてそれをすぐにぬがされ、ゆっくりと黒のタイツが脱がされていく。
それに合わせて下着を隠すようにまたタオルで隠すのだけれど、中也さんは気にもとめていない様子。
やだ、なんでこんなにドキドキするの…いい事って何、お風呂に入って何するの。
こんな風に服を脱がしていくなんて、また期待させられてやめられちゃうんじゃないの。
さっきみたいに、変に私だけ盛り上げられて、天然な中也さんはやめちゃうんじゃないの。
バクバクする心臓を隠すようにタオルをギュ、と持っていると、ブラのホックが外されてその際に指が背中に触れ、ピクリと肩が揺れる。
ほら、私の事そうやってその気にさせるから、もう弱くなってきた。
「…腕はどうする、自分で脱ぐか?」
自分で脱ぐか、なんて、そんな事出来るわけがないじゃない。
そんな、恥ずかしい事…出来っこないよ。
『……ッ、ぁ…っ…ふ、ぅ…………ッ』
黙りこくっているとそれを察してか、中也さんの手が素肌の鎖骨に触れ、肩紐が外される。
タオルを口に当てて声を抑えても、耐えられない。
こんなゆっくり脱がせたりするから……明るいとこで恥ずかしい脱がせ方、するから。
中也さんの手が腰に触れて、一際ビクリと身体が揺れた。
違う、違う…そういう事じゃないの。
一緒にお風呂、入るだけ…ああいう事をするわけじゃない。
……私に触れてくれるわけじゃ、ない。
頭で分かっててもご飯を食べる前に少し焦らされたばかりの私の身体は、すぐにそういう気分に切り替わってしまう。
いけないのに、ダメな事なのに…そういう事を期待しちゃう。
本当におかしくなっちゃった?
中也さんにこういう風に触れられて……こんな風にされると期待しちゃうのって、おかしいよね?
スルリと下も脱がされて、外気に触れる感覚。
それが恥ずかしくて脚をくっつけ、タオルを押さえる腕が震える。
触れて、ほしい。
どうしようもなく触れてほしい。
気が狂う程に切なくなってる……中也さんとああいう事が、したい。
『……ッ、は、やく入ろ…恥ずかし、から…』
「………おう、先浸かってろ」