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第11章 縁というもの


「お前の事ならいつでもそう思ってるけど、やっぱこういう事されっといつもより可愛い反応してくれっからな」

『ぁ…ッ、そういうのいい……です』

なんでやめちゃったの、なんて言えない。
どうしようもなく切ないのに、なんでこんなに切なくなるのか自分でも分からない。

聞くにも恥ずかしくて聞けなくて、そのまま中也さんの勘違いに答える事にした。

___私、もしかして期待してた?

「嫌じゃねえだろ、恥ずかしいだけで。ほら、飯食うぞ。そこが成長すんのもまあいい事ではあるが、他んとこにも付けてくれよな」

中也さんに頭をポンポンとされてから、恥ずかしさに顔が真っ赤になった。
違うもん、今恥ずかしいのは照れてるだけじゃないのに…いったい何考えてたのよ私。

『……は、い』

なんでだろ、心なしかさっきよりも食欲は出てきた気はする。
…いい匂いが部屋の中に入ってきたからだ、多分。

返事をすると中也さんはまた嬉しそうにして、用意をしてくると先にまた部屋から出て行ってしまった。

一人でベッドの上に取り残されて、どうやっても取り除けないもやもやに頭を悩ませる。
おかしい、恥ずかしい事のはずなのに。

変に気分を盛り上げられたからか、あっさり終わってしまった中也さんからのああいうスキンシップに、酷く切なさが募ってくる。
続きを知って、気持ちいいのを身体が覚えてる。

どうしよう、いつから私、こんないやらしい子になっちゃったんだろ。
いつからこんなに、恥ずかしい事ばかり身体が覚えるようになっちゃったんだろ。

自分の頭の中に浮かんだ想像を振り払うようにベッドの外に足をついて、急いで用意を手伝おうと立ち上がった。

否、立ち上がろうとした。

ガクッと片膝が崩れ落ちるように力が抜けて、立っていられずに床に倒れ込む。
ドサリと倒れ込んでからすぐに上体を起こすと、今度は焦ったように中也さんがこちらに駆け寄ってきた。

「蝶!?お前、今の音は!?」

『…?ち、中也さん…?な、なんか足に力入らなくなってて…ご、ごめんなさいすぐに行きま……っ、?』

自分でもわけがわからないくらいに力が入らない私の足。
どうしてだろう、動かすことは出来るのに、上げたり立ち上がったりといった動作がいっこうに出来そうにない。

今日、この段階で使い過ぎたから?
蹴って歩き回ってたから、疲れが溜まりすぎてた?
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