第11章 縁というもの
『ちゅ、やさん…ッ、ご飯食べるんじゃ、ないんですか……っ?』
「阿呆、お前も食うんだよ…やっぱ全然肉ついてねえじゃねえか。流石にこのままじゃちょっと心配だから、もうちょい頑張って食おう……な?」
中也さんの指が離れて、目を開くと中也さんの瞳が揺れている。
普段甘いもの以外をそこまで食べたがらない私をただでさえ心配しているこの人だ。
食事を抜くというのはそこまで心配させてしまうものだったのだろうか。
『…で、でもこの時間ですし……』
「太るとか、お前普段動いてるせいで多分ねえから。気にせずにちゃんと食べよう、ただでさえ普通の飯を食うのは苦手なんだからよ」
『そ、それでお肉ついちゃっても馬鹿にしない…?』
だから付けろっつってんだろ、と中也さんは私を抱き寄せる。
そして一言。
「お前の栄養、糖分全部その胸に取られてんだから」
ムードが一気に崩れ去った。
なんという雰囲気の壊され加減だ、デリカシーが無いにも程がある。
ていうか何気に私の胸弄って楽しんでるのこの人だけだし。
『…何、仕方ないでしょ。もしかして嫌いなの、ねえ』
「いいや?寧ろ大好物だ」
『!ッ、へんた…っあッ、ちょっと……ッ!!』
再び胸の形にそって胸を撫で始める中也さん。
服の上からなのに、その手つきのせいで余計になんだかいやらしい。
嘘、なんで?
服と下着の上からなのにそんな触れられ方されちゃったら、変な気分になってきちゃうじゃない。
『……っ、ふ…ぁ、ッ』
「俺はお前相手になら変態にでもなるさ」
ダメだ、完っ全に開き直ってる。
焦るどころか寧ろ好きだとか何なのよ、私相手にならとか言わないで…
『っ、やだ…ッ、そ、なこと言わな……ッッ!!』
ビクビク震える身体のせいで強く言えない。
でもこんな事されてても、中也さんは私の事を心地よくさせてしまうからタチが悪い…触られてるのに、気持ちいい。
本能的にも抵抗させてもらえない。
満更でもなくなってきて頬がじわじわと火照ってくると、中也さんは手をピタリと止めた。
「可愛い奴…」
『へ…ッ、な、んで……』
なんで可愛いの、どこが可愛いの。
突っ込みたいところばかりだけれど、今頭を埋め尽くしているなんでというもやもやの原因はそこじゃない。
手を止められた…だけにとどまらずその手を離して、中也さんは私の頭に置いた。