第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
蝶がこんな反応をする事なんてあまりない。
だから余計に心配になる。
膝立ちになって、蝶の伏せている顔を覗き込み、様子を伺うことにした。
しかし、首を痛めているとするならば、いくつか少しおかしな反応がある。
こいつは、痛いことならすぐに痛いと言うし、痛いところがある時に核心をつかれると、すぐに素直に俺に言う。
だけど、今の今までの反応を見ると、痛いわけではないのだろうかと思えてくる。
顔を見ると、蝶はまた泣いていた。
やらかしたか、と思ったが、瞬時にそんな考えは吹き飛ばされた。
内向きに閉じられ、弱々しく立つ足。
荒い息に、赤い顔。
声を抑えようとしてか、強く閉じられている唇。
場違いなことにも、成長して女らしくなった蝶に目を奪われた。
そして、ゆっくりと目を開けた蝶と目が合う。
『も、いい、の、っ……はな、してっくださ…っ』
途切れ途切れに言葉を紡ぐ蝶。
妙に色気を感じる。
やばい、これは俺がやばい。
完全に理性が持っていかれる。
まだだめだ、“そこから先”を考えるな。
理性でなんとか自分の中に溢れ出た禍々しい感情を押し沈めると、ふと力が抜けたのか、手が蝶の肩に落ちた。
『ひっ、ん、っ…』
そして、蝶の声で正気を取り戻す。
そうだ、まだこいつの首のことを確かめてねえ。
「!…ち、蝶お前、首はっ…」
聞けば、目を合わせようとしたり逸らそうとしたり、なんだかもじもじしながらこちらをちらちらと見る蝶。
なんだこの生物は。天使か。
『く、首…ダメだから、さわ、られるのだめっ……よわ、くて…』
「……」
それだけ聞いて、ようやく自分のしでかした事の重大さに気が付いた。
先程俺の理性が持っていかれかけ、改めて実感したが、こいつは女だ。
中学生とはいえ、俺を殺しにかかるほどの色気と愛嬌を持ち合わせている。
つまり、ここでの“首を触られるのがだめ、弱い”というのは、どう考えても一つの答えにたどり着いてしまう。
きっと誰も教えてないから分からないだけで、さっきまでの尋常じゃない反応ぶりを見ている限り、恐らくだが完全に感じさせてしまった。
蝶の……女の身体には性感帯が溢れている。
こいつはそこが弱かった…言い換えると、そこが“ツボ”だったんだ。
なにが“先に行くな”だ、もう思いっきり進みかけてんじゃねえか。
相手はまだ、中学生なんだぞ…