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第10章 名前を呼んで


見たこともないような真っ赤な真っ赤な中也さんの顔。
多分……本気で照れすぎて動揺してる顔。

『……ちゅうや』

中也さんに腕を回し直して擦り寄りながらポツリと呟くと、ビクリと反応する中也さんの身体。
顔を見せられるほどの余裕はない。
でも、散々私に色々としてくれたんだ……たまには同じ気持ちを味わう日があったっていいじゃないか。

恥ずかしくなってどうしようもなくなって、どうしようもなく、貴方も私に満たされてしまえばいい。
どうしようもないくらいに、貴方も私に恥ずかしくさせられてしまえばいい。

『中也』

「……分かった、もういい。好きなだけくっついてていいから、そろそろ仕事を『まだいっちゃやだ……もうちょっと一緒にいるの』…っ、お前、俺をどうしてえんだよ…」

頭を撫でるのを再開しつつも、私に回した腕に少し力が入ってきたあたり、相当彼にも効くのだろう。

普段なら絶対言えないけど、子供になってしまえばどうってことない。
それも含めて甘えてしまって、こちらのペースになってしまえば、後はいつもと同じ事。

『…もうちょっと中也とこのままいたい』

「あああもう、わかったわかったいてやるよ可愛いなもう!!」

『照れてるの、レアなの。中也可愛い』

「っ!!…どっちがだっつの……ッ」

撫でられる心地良さに目を細めて、中也、中也と甘えつく。
滅多に出来そうにもない甘えだ、どうせなら、この際たっぷり甘えてしまおう。

他の人みたいに、同じ目線に立って、この人の事を呼んでみよう。

『えへへ…中也、好き……大好き』

「お、俺の方がもっとだよこの野郎…ッ!!」

『じゃあね、中也が世界で一番好き』

「ああああ!!そろそろ手加減してください俺が持ちません!!!」

『私なんかに好きになられて、私なんかを好きになっちゃったのが悪いの』

してやったりと頬を緩ませて言うと、遂には相手の方が敬語になって恥ずかしがり始めた。
形勢逆転、日頃の行いのせいですよ、ドンマイです中也さん。

『中也が好き、大好き』

「…ッ、俺は愛してます」

『じゃあ私はもっと中也の事愛してる』

「こいつ…ッ、………生まれ変わっても貴女のことを愛しますっ!!!」

『!……ん、約束ね。それまで私は中也さんのものだよ』

「っ、お前の方こそ破んなよ蝶、言ったからな」

また一つ、約束が増えました。
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