第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
違うよ!なんで分かんないのこの人、人間首なんて弱い人いっぱいいるよね!?ねえ!!
「どこだ?この辺か!?……それともこっちの方か、!」
『ちがっ…あ、ぁっ…んんん、っ!!』
声が恥ずかしい。
何とか、解放された右手で抑えようと、口元に手をやる。
私の反応を確認しようとしたのか、膝立ちになって私の目を見る中也さんと、生理的な涙で視界が滲みつつも目が合った。
『も、いい、の、っ……はな、してっくださ…っ』
泣きながら何とか言葉にして懇願し、中也さんを伏し目がちに見つめる。
しかし、一向に動こうとしない中也さん。
「……」
手から力が抜けたのか、中也さんの手は私の肩へと降ろされた。
『ひっ、ん、っ…』
肩といっても首筋を通って手が降ろされた為、最後の最後に凄い刺激がきた。
肩で息をするのが手を通して感じ取れたのか、中也さんはみるみる正気を取り戻していった。
「!…ち、蝶お前、首はっ…」
『く、首…ダメだから、さわ、られるのだめっ……よわ、くて…』
心を落ち着かせながらそう言うと、恐る恐る手を離して立ち上がった中也さん。
何故か両手をあげたまま顔を青くしている。
「……蝶、俺を好きなだけ殴れ。蹴ってくれても構わねぇ、いっそのこと殺してしまってくれても……ああ、後でなんか甘いものでも買ってやるよ、だから殺すのはその後で」
『ちょ、中也さん!?私がそんな事出来るわけがないでしょ!?』
「そ、そうか…すまねぇ、本当にすまねぇ」
殺す
聞き慣れたはずのその一言に、胸がドキリと波打った。
『やめて…殺すとか、言わないで……私の事置いてかないでっ!』
両手で中也さんに抱き着く。
離れていかないでよ、独りにしないでよ。
「蝶、?お前まさか、っ!」
『……変な夢見たの、一緒にいた中也さんと離れ離れになって、近くに誰かいてっ…それで、それでっ…』
頭がぐちゃぐちゃになってる。
溢れるように出てきた素直な気持ちだったが、最後の一言を言うのには少しだけ勇気がいった。
『……私、中也さんに見捨てられちゃった…。ごめんなさい、私がいいこにしてないから、変な想像して、中也さん困らせて、…中也さんは、私の事、置いてかないはずだって…っ』
頭を撫でられ、何も言わずに抱きしめ返される。
余計に涙が零れてくる。
「俺はお前の事、絶対にもう離さねぇから。」