第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
右肩があったけぇ…そうか、蝶の奴が寝ちまってもたれ掛かって来てたんだっけ。
こいつもホントに無防備だよな、俺が隣だったから良かったもののほかの奴ならどうなってた事か。
ただ無防備なだけな女なら別になんとも思わねぇが蝶なら話は別だ。
容姿は段違いで良いし、中身に関して言ってもこんなに癒されるような奴いねえだろってレベルで、言ってしまえば手放したくなくなるような…
他の奴らなんかには到底恥ずかしくて言えないような事ばかり頭に浮かべながら、帽子を被せた蝶の方を再びチラリと見れば、蝶の周りにE組の男共が集まっていた。
あまりにも驚いたため目を擦って二度見してみるも、何やら興奮した様子のそいつらは、蝶に被せた帽子をとろうと手をかけようとしている。
まずい、これはまずい。
しかし年頃の男女というものには口を出さないのが大人の男ってもんか?
そんな考えで意地を張るも、蝶に群がる男共を見てそんな建前は吹き飛んでいった。
気が付いた時にはいつの間にか動いている体と口。
勢いよくシートから立ち上がり、周りも気にせず大声を上げる。
「手前ら!!!蝶に指一本でも触れてみろ、容赦しねえぞ!?こいつは俺……の、………!?」
「え、と…中原君?」
「どうされました、中原さん!?」
「中也さんどうしたの、いきなりそんな叫んで…」
見渡せば驚いた様子で俺を見る周りの奴ら。
『ん、?ちゅ…やさ、……ん…』
蝶は俺の出した大声に反応したのか、俺を呼びながらこちらに抱き着いてくる始末。
所謂膝枕という状態になっているのだが、頭の整理が追いつかない。
え、なんだこれ。
蝶も蝶で何してんだ。
「あっれ、もしかして無意識?」
「中原さん、もしかして夢でも見てたんじゃ…」
赤羽と潮田に言われてようやく理解した。
そうか、夢か……焦った、割とマジで焦った。
俺のもとで抱き着いて眠りこけてる蝶の背中を、小さい子供を寝かしつけるようにして一定のリズムで撫でてやりながら、自分の心も落ち着かせる。
「夢かぁ……あんなに盛大に告白しかけてただなんて一体どんな夢だったの?」
澄んだ目をして聞いてきやがる赤羽。
こいつ絶対わざとだろ。
「何でもねえよ!!…まあ、いくらお前といえどもこいつはやらねえからな、絶対変なことすんじゃねーぞ。」
「え、変なことって何〜??」
「……知るか!!」