第3章 新しい仲間と新しい敵と…ⅰ
『えへへ…』
中也さんの手、この手に撫でられるの、本当に好き。
私が撫でられるのが好きだって事を知ってか知らずか、よく撫でてくれるから余計に好き。
「任せとけ、ちゃんといいの選んできてやる!」
『はい♪』
「ね?先生方。本当、見ててこっちが微笑ましくなってくるくらい、お互い大好きでしょうこの二人。特に蝶ちゃんなんて小さい頃からもうずっと中原君にベッタリで、中原君も生活自体が蝶ちゃん基準に出来てるような__」
「『首領!!!』」
二人揃ってまた反応する。
その様子を予想していたのだろうか、当の本人に至っては、
「はははは!本当に息ぴったりだ!和むねぇ〜……あ、それにね?」
といった調子で、私と中也さんの話ばかりを繰り返している。
よく話題がそれで尽きないなと思いながらも、中也さんのいる日常に帰ってこれたことが嬉しくて、心があったまった。
それに伴って、お昼なのにまた睡魔が襲いかかってきた。
それもそうか、昨日結局、腕枕してもらったのもかなり遅い時間だったし。
中也さんの腕枕気持ちよかったな〜なんて考えつつ、眠気に抗うことなく意識を沈める。
隣にいる中也さんの、もう瞼を閉じてしまって見えない表情を思い浮かべながら、心の中でおやすみなさいと大好きを伝えた。
「!……ん、蝶?」
ずっと上司から他の者への自分と蝶との話を聞かされ、はずかしめられていたが、突然自身の右肩に感じた少しの重みに目を向ける。
そこには、スースーと静かに寝息をたてながら、無防備な表情で眠る蝶。
「おや、寝ちゃったのかい?…中原君、表情が険しくなってるよ?」
「え!?あ、すいません、」
中原の表情が曇っていたのは、この顔の蝶を他の者に見せたくないからである。
少し考えた結果、中原は自分の被っていた帽子を蝶に被せ、そうすることで周りの目に晒されることを防いだ。
「蝶さん、ただでさえ可愛らしい顔をされていますし、心配にもなりますよねぇ」
なんていう超生物の野次からくる羞恥にも耐える。
「そんなんじゃなくてだな…あーもう俺も寝る!!」
傍から見ればただの不貞寝だったが、中原自身、恥ずかしさ半分と寝不足半分だ。
そして中原の寝つきは早く、気づけば蝶と仲良くくっついて眠っていた。
「ね?先生達。……見ていて癒されるでしょう?」
「ええ、そうですね」