• テキストサイズ

Replay

第10章 名前を呼んで


『……あ、のッ…手、離してくださ……っ!!』

思いっきり胸に力を加えられて、それが痛くて余計に怖くなって、生理的な涙が目尻に滲む。

「その歳の割に合わないくらいの大きさだね。着痩せするタイプ?あるなとは思ってたけどかなりのものじゃないか」

無理に掴まれたそこの先端部分を布の上からグリグリと圧迫されて、仕事服で布地が薄いせいもあって余計に敏感になる。
そんなに強く押さないで…そんなに乱暴にしないで……

痛みまで加わってきてそれが余計に恐ろしくなって、本能的に中也さんを欲し始めた。
こんなの嫌だ、助けて中也さん…気付いて……

手をなんとか動かして、壁についていた方の手で胸を掴む相手の手を掴む。
そして離そうとするのだけれど、相手はそれに負けじと更に先端をグリグリと圧迫する上、下の方まで痛いくらいに圧迫し始めた。

それには最早悲鳴が漏れそうにさえなってしまって、目をギュッと瞑って声を抑えることに集中する。

ピクピクと身体を反応させながらも力が入っているのかどうかも分からなくなるくらいに身体が震え上がって、壁に身体を預けるように体重をかけ、深く呼吸をしながらなんとか耐える。

「頑張るねえ…感じやすいのかな君は?そろそろ脱がせてあげよっか」

『!!?』

男の人の声に頭が回らなくなる。
今この人、なんて言った?
脱ぐ?こんな、人がいっぱいいるとこで?

首を横に振り乱すもやはり聞いてはくれなくて、下を圧迫していた手が離れてそれもまた脇腹を伝って上にゆっくりと登ってくる。

掴まれていない方の胸にその手が到達しようとしているのに更に恐怖が込み上げてきて、必死に懇願するように首を振る。

フニ、と胸の下の方に指が届いて、一層首を横に振り、その続きに耐えようとした瞬間だった。

「……っ、…………!!?」

私の身体にまた別の人の手が触れたかと思えば、無理矢理男の人の手が離されて、痛みに耐えるような声が聞こえる。
そして右胸を強く掴んでいた方の手もゆっくりと離れ、痛みからようやっと身体が解放された。

「____手前、今何してやがった。ああ?この腕へし折られてえか」

私の方にまで飛んできそうなほどのその殺気。
声を聴いてようやく恐怖心が抜けたかと思うと、その人は私を片手で引き寄せ、私を隠すように外套でフワリと周りの世界から遮ってくれた。
/ 2703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp