第9章 天からの贈り物
『だいたい何ですか、皆して歳の差とか私の見た目とか』
「まて、蝶、気持ちは分かるがこれは」
『中也さんに聞いてない』
「は、はいっス…」
零の身長を考えてみても、確かに身長はそう高くなかった上、この童顔だ。
転生云々以前に恐らく本人はかなりそこを気にしてる。
身長や童顔の事なら物凄く分かる部分がある、これは下手に刺激しねえ方がいい。
「い、いやあ蝶ちゃん可愛いからさ…?」
「そ、そうですわ!ですから余計に中原さんが怪しい方に見えてしまうというか…」
「おい、今なんかすっげえ俺の恐れてた言葉が聞こえたんだが…あー、蝶?正直お前、これどっちかっつうと褒められて…___」
隣で顔を背けてプルプルと肩を揺らす蝶が流石に心配になって肩に手を置き、顔をこちらに向けさせる。
すると、なんともまあ顔を真っ赤にして子供みてえに涙目になって……って泣いてやがった!!?
『うるさいッ、何よ、どうせ中也さんももうちょっと身長高くて女の人らしい人の方が好みなんでしょう!?』
「は!?いきなり何を…」
『だってさっき何か考えて嬉しそうな顔してたじゃない!何考えてたのよ!!』
「いや、何ってお前が二十歳くらいの姿をだな……あ、」
口を滑らせた。
これは非常に拙い。
恐らくこん中で事情を知ってんのは俺と太宰くらいだろうし、探偵社員共からしてみりゃ本格的にやばい奴だ俺。
そして肝心の蝶さんときたら…
『え…っ、あ、…へ、ッ!!?』
またまた本気で照れてやがる。
「……悪い、口滑らせた。お前、こいつらにまだ言ってねえんだよな?黙っといた方がいいか」
頭に手を置いて顔を覗き込むと、蝶はポツリと口を開く。
『…………い、い。でも、あんま聞きたくない…から、太宰さん、詳しい話はまたお願いしておいてもいいですか?』
「!…うん、いいよ。蝶ちゃんが任務に行ってる内に済ませておくね」
太宰に礼を言ってから、俺のところに抱きつきに来る蝶。
今煩悩ばっか頭ん中に出すような時じゃねえってのに、流石に俺でもこれは照れる。
「まあなんだ…歳の差云々はともかくとしておいて、蝶は一概に十四の子供だとは言いきれねえんだよ。俺よりずっと長く生きてきてっし、実質俺が大人なのかこいつが大人なのかもちょっと曖昧なとこなんだ」
『…子供って言わないんだ』
「子供なところも多いがな」