第7章 06
ードン!!
「ッテェ!!!」
屋根から塀へ、そして塀から普通の道へ着地しようと流れるような動作でスムーズに降りていたのだが、着地場所で通行人とぶつかってしまったのだ
『やっべ、前方不注意は私のミスだな
お兄さん大丈夫です?怪我とかしてません?』
驚いた顔でさんをみているのは黒いスーツを着た20代くらいの青年
そりゃあ普通に歩いていて上から人が飛び降りてくるなんて思わないだろう
青年が驚くのも無理はない
『あのぉ、驚かせてしまったみたいで申し訳ないです。今後は気をつけますので…』
さんは自分の不注意で起きた事なので猫を被った様に、低姿勢で話しかける
「テメェ!!当たっておいてそんだけか?あ?」
青年はさんが低姿勢なのをいい事に声を荒げた
『はぁ、お怒りなのも仕方のないことですね。ですが、見たところお怪我も無いようですし鎮めていただけませんか?』
ぶつかったと言えど、直前で身体をひねり直撃を避けたので早歩きの人とぶつかったくらいの衝撃だったのだ
そりゃあ怪我などする筈はない。謝罪以外に何かを求められる筋合いはないのだ
面倒ごとにならないようあくまで下手に出ているだけで、内心は突っかかる青年に苛立ちを覚えていた
「ぶつかった相手に鎮まれとはいい度胸だなぁ?あん?」
そんなさんの苛立ちに気付かない青年は更にまくし立て、とうとうさんの胸ぐらを掴んだ
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