第6章 05
『くそッ……ヘタうったのは何年ぶりだ』
割られた頭がズキズキと脈をうち血が流れていく
意識がフワフワとしていく中 さんはやっと雲雀と住むマンションにたどり着いた
自力で開錠したという事は家主はまだ帰宅していないという事だ
『よかった……やってみっか…』
さんは流しすぎた血にそろそろ危機感を覚えたのか自身の掌を傷口へ運ぶ
脳に直接流し込まれた情報
教わらずも何をどうすればその力が発動するのかがわかる
『恭弥に見られる前に…頼むぜ』
暖かくなった傷口が音も立てずに塞がっていくのがわかる
傷口と共に痛みも嘘のように引いていった
『マジで治りやがった……』
割られた頭をツンと指で触り襲ってこない痛みと触り心地で治ったことを確認する
『これで私もビックリ人間の仲間入り…あー、』
軽口を叩き玄関に散った己の血液をどうにかせねばと動き出そうとするさん
『そーゆーことな、りょーか…』
自身の意思とは裏腹にゆらりとその場に倒れる
なるほど納得足りない血までは補えないのかと 他人事の様に頭の片隅に情報を書き込み
エントランスからココまで血だらけだなー
とか
住人に見られたら通報されるなー
とか
制服のコト何と説明しようか…あー、お腹減った
そんな事を考えながらゆっくりと目を閉じた
とりあえず、今はこの身体の気怠さが引くまで動きたくなかった