第1章 00
ごうごうと燃えはじめた建物を背に血を浴びた身体を隠す様に上着を着たさんが現れる
迷うことなく目指すのは薄暗い路地裏
深夜ということもあり、周りに人はいない
ソコに真っ黒いスーツを着た男が1人
「流石です…やはりDEMONの名は伊達じゃないと言う事ですね
最早、貴女の名を知らない裏の人間は皆無…どのマフィアもこぞって貴女を欲している
まさに裏社会のトップスターと言ったところでしょうか」
黒ずくめの男は口元をクイッと上げながらさんを挑発するかの様に話かけた
『…………
そんなクソにもなんねぇ称号なんざいらねぇ
サッサとその金を寄越せ
そして私の前から消えろ』
そう言うと、さんは男が持っていたブリーフケースを乱暴に奪い取る
『指令は今ねえんだろ…じゃあな』
さんはそう言うと踵を返して歩きだす
「LAST JOBご苦労さん…BLACK DEMON…」
黒ずくめの男は誰に聞かれるでもないその言葉を呟き闇に消えて行った
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