第1章 00
『ったくよぉ……』
その場に似つかわしくないさんの鼻で笑う声が響く
当然、男達はさんを見た
『はぁ…やっと顔出しやがった…
手間かけさせんじゃねぇよ』
その変貌ぶりに、一同はポカンとするしかない
「お、お前はいったい…何を…?」
『悪井組会長悪井太郎、CLUB-E.ONna-店長媚琉春男…
てめぇ等は神の怒りに触れた…そう言えば、わかるよなぁ?』
神
さんがそう言うと男達は悟り身を強張らせた
「馬鹿な!!奴等にこの事がばれていると言う情報はなかったはずだ!!」
この怯えた男達の前に 先程までの優雅なさんはいない
『ッるせぇ、ゴミが…火消しをやるこっちの身にもなりやがれ
ったく…こうも簡単に情報漏れてちゃ世話ねぇ…
見えねぇ所でやれってんだ
そうする限り殺(バラ)そうがヤク売ろうが関係ねぇ
てめぇ等みてぇなクズがいなけりゃ今頃私は楽しい楽しい晩酌タイムをキャンセルせずに済んだってワケ…
わかってんのか?』
そう言いながらさんは懐から取り出した愛銃の撃鉄を起こす
「そ…;;そう簡単に……!!」
動揺を隠せないながらも、悪井は部下に目配せをする
しかし、お見通しとばかりに素早く引き金を引く
ビチャと体に返り血を浴びたさんの目はすわっている
「ヒッ!?お…鬼、」
命を請うのも忘れ悪井と媚琉は腰を抜かした
『あーーー、
人間なぁ…誰でも触れられたくねぇスイッチがあんのは知ってっか?
てめぇは今、あろう事かそれに触れた…こいつぁ大変だ…
なぁ?死にな…』
カチャと引き金を引きニヤリと笑うさんを見て大の男達はひれ伏す
「た…助け……神様……」
バンッ!!
グチャッ…
『神なら今頃どっかで金勘定でもしてらぁ…残念だったな…』
今の今まで薄汚い笑みを浮かべていた男達は、もの言わぬ屍と化し 部屋は火薬と鉄の臭いで充満する
『チッ……』
舌打ちをしさんは、自らの懐から取り出したタバコに火を付けると、一枚の紙をビリビリと破り捨て部屋に火を放った