第3章 02
【応接室】
『ヒュー
中学の応接室って言っても結構ちゃんとしてんだな』
さんは応接室に備え付けられたソファにズンと身を沈め伸びをする
『…で、こんなに早く来て何すんのさ?校長先生様とお話?』
「君の入学手続きをするんだよ…
君はおとなしくソコに居たら良いから」
雲雀はさも当たり前の様にデスクに向かうと、引き出しの中から紙とペンを取り出してスラスラと作業をはじめた
『私暇じゃんよ…』
さんは少しだけ頬を膨らまし雲雀に視線を移す
だが雲雀はすでに作業に集中していてかまってくれそうになかった
やる事もないさんは窓から身を乗り出し朝の風に身を委ねる
心地よい風に自然と口元が緩んだ
気分良く鼻歌を歌いながら待つさんをうるさいと一喝しないのは、彼女の歌の上手さからか…作業に集中しているからか…定かではないが 雲雀は無言で紙にペンを走らせた
-コトン
さんが窓の外に意識をうつしていると、後ろで音がした
振り返るとテーブルの上にはフンワリと湯気の登り立つコーヒーが二ツ置かれる
そして、ソファに腰をおろした雲雀がいた
「君が歌が上手いのは意外だね」
フンと鼻を鳴らしてコーヒーに手を伸ばす雲雀を見て、さんはフッと笑った
『そッ?褒め言葉として受け取るよ』
そして、雲雀の隣に腰をかける
『作業は?終わった?』
「あとは、印鑑を押せば終わりだよ
でもどの棚に片付けたか忘れてしまってね…今委員の者に連絡を入れたところさ
場所も解ったし大丈夫」
雲雀がそう言うと、さんはキョトンとする
『編入手続きって生徒がやって良いのか?
クスッ……今度は私が質問する…君は何者?』
そして冗談半分で質問した
「僕かい?僕は並盛中風紀委員長…この街の秩序だよ」
そしてその問いに雲雀も当然の如く答えた
『秩序?いーなー』
「…」ズルッ
満面の笑みで目を輝かせるさんに雲雀はすべったのだった