第2章 アインシュタインなあいつ
そのまま庭を進んだ。
「あれ?アトリエって」
「うん」
俺のポケットの中で、俺の手とニノの手が絡まってる。
「凄い。八角形なんだね…」
「変わった形だろ?光が8方向から入るんだよ。多分、中に入ったら太陽の光が面白い影を作ると思う」
「へえ…やっぱり絵を描く時って、そういうのも必要なんだ」
きゅっとニノの手に力が入った。
「そうだな…あったら面白いな、そういう要素も」
「そっかあ…俺、絵のセンスなんてないから、凄いね。大野さん」
「何、言ってんだよ…ニノだって歌作ったりして凄いじゃねえか。俺、絶対作詞なんてできねーもん」
俺もきゅっと力を入れてみた。
ふたりでアトリエを眺めた。
アトリエには薄いレースのカーテンが引かれている。
「もう、中に入ったの?」
「うん。この前入った」
「どうだった?」
「なんか、モダンな感じだった」
「へぇ…そのおばあちゃん、センス良かったんだね」
そういって俺の顔を見た。
思わず俺は、手をぎゅっと握った。
ニノが少し驚いた顔をしたけど、すぐ前を向いた。
そのまま、ぎゅっと手を握り返してくれた。
そのまままた、アトリエを眺めた。