第2章 アインシュタインなあいつ
その日から二日ほど経って、ニノと俺の休みが合ったから家を見に行った。
その日はものすごく寒くて、家の庭に行ったら、霜柱が立っていた。
「わ、なんか懐かしい感触」
ニノははしゃぎながら、庭の霜柱を踏みしめていた。
俺は特別でっかい霜柱があったから、手袋をした手に取って眺めた。
透明な短い柱がいくつも重なって、きらきらしていた。
ニノが緑のダッフルコートのポケットから手を出した。
「見せて、大野さん」
「ん」
手渡してやると、俺がやったように太陽にかざしてそれを見る。
「わ…きれい。こんな大きな霜柱、みたことない」
俺も立ちあがって一緒にそれを見た。
角度を変えると、光の反射する角度が変わって、万華鏡みたいだった。
「きれいだな…」
ニノと顔が凄く近かった。
俺がつぶやくと、ちらっとニノが俺の顔をみた。
「ん?」
「…なんでもない…」
また霜柱をみた。
暫くふたりできらきらを眺めてた。
「あ、もうだめだ…」
「どうした?」
ニノが霜柱を落とした。
「いってー…」
ニノは素手で霜柱を持っていた。
「あっ…バカ…」
俺は手を掴んで、俺の服で拭いてやった。
そのまま、俺のコートのポケットにニノの手を突っ込んだ。
俺も手袋を取ってそこに手を入れた。
ぎゅっとニノの手を握った。
冷たい。
「暫く、あったまってろ」
そういうと、珍しく大人しく頷いた。