第2章 アインシュタインなあいつ
「でもさあ、あんたそんな家、ちゃんと一人で住めるの?」
「え?」
「マンションとちがって、手入れしないと維持できないよ?一軒家って」
「んー…まあ、そういうのは業者いれるから…」
「もったいない…」
「え?」
ニノは俺の顔を見て、じっと考え事をしている。
「な、なんだよ…」
「一回、その家俺もみせてよ」
「ん?ああ、引っ越したら遊びに…」
「ううん。引っ越す前に見たい」
「え?」
楽屋のソファで、ニノと俺は見つめ合った。
真面目な顔をしていたのに、すぐに舌をだした。
アインシュタインみたいな顔だった。
「わかったよ…」
どうもニノの頼みは昔から断れない。
それにこんなに近くにいるのも、なんだか最近は照れくさくてしょうがない。
おどけた顔のまま、ニノは立ちあがった。
「そんときに!」
「え?」
「今度こそ、二人でご飯だからね」
振り返って、微笑んだ。
「あ、ああ…まあ…別にいいけど…」
なんだかへどもどしてしまった。
照れくさいのがいやだから、一緒に飯とかいかなかったのに…
「あんたのおごりね」
そう言い残すと、守銭奴は颯爽と楽屋を出て行った。