第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「今日、息子さんも一緒なんだ?」
「ええ。そうですね」
なんとなく、植源さんはソワソワしている。
「ぼ、坊っちゃん」
「ん?」
「茶ぁ…頂いてよろしいですか?」
「え?うん…いいよ」
また前庭に回ってもらって、縁側でお茶を出した。
「息子さんはいいの?」
「ええ。あいつぁ、いいんですよ」
「そう…?でも…」
「ああ…ああ!ここの楡の木も後で、少し刈り込みますね!」
「…うん。お願いします」
大ぶりの湯呑に、お番茶をいっぱい注いだ。
「どうしたの…?」
「えっ…なにがですかい?」
慌てて湯呑を手にとって、ガブガブ飲みだした。
「…熱くないの?」
「江戸っ子ですから」
「そう…」
なんか、様子がおかしい。
あからさまにソワソワしてるんだよなあ。
「どうしたのさ?」
「ええっ!?なにがですかい!?」
またガブガブお茶を飲んでる。
「なんか、隠してるの?」
「な、な、なにを…」
「だって、おかしいよ?なんか…」
「なんでもありゃあしませんよ」
ごほっと一つ咳をすると、きりりと白髪の混じった眉を上げた。
「それよりも坊っちゃん」
「あい?」
「悩みは解決したんですかい?」