第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
それにしても腰がだるい。
昨日結局、俺は1回しかその……
「うわぁぁ…」
やっぱり恥ずかしくなってきた。
あんな泣きながらセックスしたことなんかないぞ…
鼻水とよだれも出てたかもしれない。
んでさ…
ドライでイッたのかなぁ…
すんごい気持ちよかったけど、その辺曖昧なんだよなあ。
あんまよく覚えてない。
「は…はは…」
あんな、翔ちゃんみたく乱れてたのかな…俺…
「智くん?」
シンクに凭れながら恥ずかしがってたら、いつのまにか翔ちゃんが後ろに立ってた。
「わ」
「なにぼーっとしてんの?」
「い、いや…なんでもない」
「俺、そろそろ出るから…ってなに赤くなってんの?」
さわさわと俺のほっぺを撫でていく。
「なっ…なんでもないったらっ」
「ふうん?」
なんだよお…昨日相当可愛かったくせに…
なんでしれっと「櫻井翔」してんだよ…
「…智くん…?」
「え?」
「あのね…」
ぎゅっと俺のこと後ろから抱きしめた。
「凄く…感謝してるから…」
「え?」
「本当に、ありがとう…」
「翔ちゃん…」
「きっと…俺、克服するから…」
「うん…わかってる」
翔ちゃんなら…きっと、だいじょうぶ。