第7章 柔らかな刺
だめだ。
ちょっと落ち着け、俺。
俺の部屋じゃ、声が部屋の外に聞こえちゃうし。
アトリエには二重で鍵もかかるし。
あ、鍵締めてこなきゃ。
アトリエのカーテンは閉めた。
キスをしながら、いろいろ考えてたら、和也がいきなり俺の首に手を回して引き寄せた。
ちょ、ちょ、まだ待て。
「かず…鍵、締めるから待ってて?」
「締めてきた…」
「え?」
「だって…ふたりきり、邪魔されたくないもん…」
「かず…」
「もっと…キス…」
「ん…」
夕方だから、外はオレンジ色に染まってる。
部屋の中はカーテン閉めちゃったから、薄暗い。
和也の白い顔の輪郭が、ぼんやりしてる。
ちゅっと啄むだけのキスをすると、和也の顔をみた。
にこっと和也が笑った。
俺も笑う。
そのまま和也の頬を手で包む。
引き寄せて唇をつける。
和也の薄い唇を食むと、中から舌が出てきて俺の唇を舐めた。
俺は舌を絡めとって、深く和也の口の中に入った。
俺の舌と和也の舌が絡みあう音が、アトリエに響いた。
和也の手が俺の背中に回ってきて、そっと背中を撫でていく。
背筋がゾワゾワした。
今度こそ、俺は本格的に勃った。