第7章 柔らかな刺
その後、親父さんと相葉ちゃんは話し込んでて。
俺は写真を親父さんに渡すと、ベンチに座ってそれを見てた。
相葉ちゃんの足元には、なんか植物がある。
今度はあれを温室で育てるのか…
ふと蔵の方をみると、車庫に向かう和也のゲレンデバーゲンの音が聞こえた。
ぶらぶらと俺は出迎えるために、車庫のほうに歩き出した。
相葉ちゃんが考えてくれた、庭の道。
歩きやすいように圧縮したゴムの素材が敷き詰めてある。
雨が降っても水たまりにならないから、とっても便利。
車庫のドアを開けたら、和也が降りてくるところだった。
「あ、ただいま」
「おかえり。めっちゃ早かったね」
「近くに来てたから」
「そっか」
和也の両手にある荷物を受け取りに近づいた。
急に和也が俺に近づいてきて、ちゅっとキスをした。
「あ…」
なんかおもいっきり照れてしまった。
和也はふふっと笑うと、もう一方の車庫のドアに鍵を差し込んで開けてる。
ここが家に直結するドア。
「あ、俺、正面に回って入るから。先に入ってて和也」
「あ、うん」
「庭に、植源さん来てるよ」
「あ、ほんと。後で行くから言っといて」
「わかった」
そう言って、軽く和也の腕を引き寄せた。
ちゅっとおかえししといた。