第7章 柔らかな刺
「えっ!?この人が旦那さん?」
「あ…もしかして見たことなかったですか…」
「だって、ばあちゃんアルバムとか全部捨ててったんだもん」
「ああ、じゃあ涼太さんのも全部捨てていかれたんですねえ…」
親父さんはばあちゃんの旦那さんにはあったことはないらしい。
ただ、ばあちゃんが亡くなる前に、何を思ったかばあちゃんはこの写真を預けて行ったそうだ。
その時に、旦那さんの思い出話もしていったらしい。
親父さんはこれを大事に持ってくれてる。
「坊っちゃんがもってたほうがいいんじゃないですかねぇ?」
「いや…それはばあちゃんが信用してる親父さんに預けたんだから…もっててやってよ…」
そういったら、ちょっと嬉しそうな顔をした。
「じゃあ…アタシが預かっておきましょう」
また写真を眺めた。
ばあちゃんは本当に可愛くて。
涼太さんという、ばあちゃんの旦那さんは、名前のとおり、目元が涼やかで。
でも肺の病気だった人だから、やっぱり線が細くて。
折れそうな体してた。
色も多分、白かったんだろうな。
白黒だからわからないけど。
ふたりで寄り添って、庭を眺めてる姿…
仲がよかったことは、凄くわかった。