第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「ち、違うっ…」
「いや、翔さん…」
「完全にそれだろうが…」
潤が俺の隣から立ち上がって、テーブルを回り込んで翔ちゃんの正面にしゃがみこんだ。
翔ちゃんの右手を握ると、まっすぐ見上げて微笑んだ。
「リハで落っこちたのが、トラウマになった。だから怖いんだよ」
「だって…怪我治ったし。違うって…」
「翔ちゃん…」
相葉ちゃんも立ち上がると、翔ちゃんの隣に腰掛けた。
「それしかないと思う。俺も」
「雅紀…でも…」
俺も立ち上がって、翔ちゃんの後ろに回り込んだ。
肩に手を置くと、俺を見上げた。
「智くん…」
「俺も、そう思う」
多分…翔ちゃんが思ってる以上に、翔ちゃんの中でわだかまっているのかもしれない。
確かに、あのときの翔ちゃんは本当にひどい状態で。
落ちた直後はショック状態になってて。
しばらく口も聞けないくらいだった。
怪我が治って元気になってからは、落ちたことを言わなくなってたから、てっきりもう気にしてないと思ってたんだけど…
「わかった。じゃあ、一つの可能性として、考えとこ?」
「うん…」
和也がふふっと笑って翔ちゃんの頬を手で包み込んだ。
「他になにかあるか、みんなで考えよ」