第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「いつから、そういう風になるようになったの?」
「今年入ってからかな…」
「それは、リハ限定なの?」
「…客前に出るステージングの、本番は大丈夫なんだけど、リハとかゲネとか…そういう時になる」
相葉ちゃんと潤が目を合わせた。
「それって…」
「歌って踊るとき、限定?」
「トークとか、イベントに出席するときとかは大丈夫なんだ?」
「うん…そうだね…ZEROなんかも平気かな…」
やっぱりって顔をして、二人は頷いた。
「トラウマだね…翔くん…」
「え…?」
「俺もそうだと思う。まあ、しょうがないと思うけどね…」
和也がふうっと息を吐き出した。
「……やっぱ、あれ、すんごい気にしてたんだ…?翔さん」
「え…」
「落下、したでしょ?去年の年末…」
「あ…」
そっか。
アレか…
あれは、カウコンのリハ中の出来事だった。
和也は出れないからその場にはいなかったんだけど、翔ちゃんがリハ中にステージから落下して。
体中強打して、おまけに額から流血しちゃって…
大晦日までに、顔の腫れが引かなくて大騒ぎになったんだ。
「俺、現場にいなかったから…気づけなくてごめん…」
和也はそっと翔ちゃんを抱きしめた。