第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「あ、そ…」
ぼりぼりと寝癖のついた頭を掻いて、ぼけっと翔ちゃんを眺めた。
どうやら、マネたちは会場にいるらしく、控室には誰もいなかった。
他のスタッフさんもちょうど出払ってるみたい。
お。
今、じゃね?
ごそっと身体に掛かってたブランケットを退けると、もそもそと翔ちゃんの方に近づいていった。
隣に座ると、翔ちゃんはなあに?って顔で俺を見た。
「ねえ…翔ちゃん」
「なに?」
「なんかさ、悩んでることあるの?」
「えっ?」
すごいびっくりした顔で、翔ちゃんは俺を見た。
「…なに…?いきなり…」
すぐに笑った顔を作って、ペットボトルの飲み物をゴクリと飲み込んだ。
「今、悩んでる暇なんかないでしょ」
「あのさ」
しっかりと翔ちゃんに身体を向けた。
真っ直ぐに目を見て、しっかり伝えなきゃ。
「俺、翔ちゃんのこと好きだよ」
「なっ…」
翔ちゃんは焦った顔をすると、ぶんっと周りを見渡した。
「ビビったぁ…こんなとこで何いってんだよ。わかってるよ!?」
この反応を見ると…
悩んでることは、植源さんの言ってた”愛や恋の悩み”ではなさそうだな…
「翔ちゃんは?俺のこと、好き?」
「す…好きだよ…?」
「じゃあ、言って」
「何を…」
「不安に思ってること、言って?」