第7章 柔らかな刺
植源さんは、例のしおれた若木の世話にきてた。
相葉ちゃんがやった肥料は効いてたんだけど、量が足りなかったんだって。
「相葉さんは、腕がいいかもしれないですねぇ」
「ぶっ…」
「あっ…!リーダー笑うなよっ…!」
「だって…相葉ちゃん…鉢植え…」
笑って言葉が続かなかった。
「あんなの昔の話だろぉ!?今は、ちゃんと植源さんに教えてもらってるんだからっ!」
真っ赤になってムキになる。
「わかった…わかった…」
「もう…まだ笑ってるし…」
相葉ちゃんが拗ねた。
植源さんが苦笑いしてる。
「ここも…賑やかになって…佐穂さん、喜んでるでしょうねぇ…」
遠い目をして家を眺めた。
俺達も思わず家を眺める。
一番最初にみたときより、家が温かい入れ物に見えた。
あ、そうだ…
明日、ここに翔ちゃんが越してくるんだ…
どうしよう。
どうしたらいいんだろ…
植源さんが半纏の内側に手を入れて、何か取り出した。
「これ、坊っちゃんにと思って」
取り出したのは写真だった。
若いころのばあちゃんと、知らない男の人が写ってた。
「佐穂さんと、旦那さんの涼太さんです」