第7章 柔らかな刺
地下鉄で移動中に和也から着信があった。
家の最寄り駅についてから、折り返し電話をしたら、ワンコールしないで和也が出た。
「あ、かず…」
『どうだった?潤』
「ん…まだ苦しそうだった…」
『そっか…わかった』
「夕飯、どうする?」
『智を食べる』
「ばか…」
照れた。
『冗談だよ。なんか買って帰るね』
「わかった。よろしく」
『智?』
「ん?」
『…すき』
「ん…俺も」
『じゃ、後でね』
「じゃあな」
おもいっきり照れた。
通話が終わる頃、家に着いた。
門を開けて中に入ると、庭から声が聞こえた。
植源さんが来てた。
おやじさんのほう。
そのまま庭に回ると、今日はオフだった相葉ちゃんが出先から帰ってきて、植源さんと話してた。
「あ、リーダーお帰り~」
相変わらず、あったかい笑み。
「おかえりなさい、智坊っちゃん」
いかつい顔で、挨拶された。
「植源さん…それやめて…怪物くん思い出すから…」
「いやあ…でも佐穂さんのご親類なら、坊っちゃんてお呼びしないとバチがあたりそうで…」
「智でいいですって…親父さん…」
「いやあ、そんなわけにゃあ…」
「もう、キリないじゃん…ふたりとも」
相葉ちゃんが笑った。