第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「冷たいって…思わないけど…」
「だって、今の俺じゃ翔くんのことフォローできない。それよりも優先すべきことがあるから」
きっぱりと潤は言い切った。
「今、俺は何億円ものプロジェクト動かしてんの。色んな人の生活かかってんの。だから、そんな余裕はない」
確かに…
潤が今やってることって、アニバーサリーのコンサートツアーの仕事が中心で…
これがコケたら…ってそんなこと絶対ないようにしないといけないんだけどさ。
もしも事故なんか起こったりしたら…いろんな人に迷惑がかかってしまう。
もちろん、待っててくれるファンのみんなにも…
俺たちだけって訳にはいかないんだ。
「それに…やっぱ、その役目はリーダーが適任じゃないかと思う」
「え?」
「だから、俺なにもしなかったの」
「…そう、なの…?」
「そう。信用してんだよ?」
「え…えええ!?」
「それに、翔くんのこともね…信用してるから…」
「潤…」
「きっとね、翔くんは立ち直ってくれるって…そう、信じてるからね…」
またタブレットに目を落とすと、微笑んだ。
「今までそうしてきたんだもん…だから、俺は俺のやることを一生懸命やってんの」