第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「なんでこんな早いの?」
「んー?幕張で機材がトラブってて、スタッフさんがほとんどそっち行っちゃってさ…打ち合わせできなくなったから、一旦帰ってきた。多分、今日は帰ってこれない」
「そっか…おつかれ…」
ずずっと潤の淹れたコーヒーを啜ったら、少し目が覚めた。
「勉強進んだの?」
「んなわけねえだろ…」
「だよね…」
今、幕張メッセでコンサートのリハのための建込みやってんだよね。
ホントだったら潤はそこに張り付いてないといけないんだけど、よっぽどのでかいトラブルなんだろう。
一旦、自宅に帰ってもいいよって言われたみたい。
ぽけっとしながらコーヒーカップの中を眺めてたら、足元に潤が座った。
カバンからなにやら書類を出して、次々にガラスのローテーブルに並べだした。
仕事始めるつもりだ。
「おいら…掃除しなきゃ…」
「あ、掃除機片しちゃった」
「おお…まだ途中だったんだよ」
「途中なのに寝たの?」
「…ぐ…」
ぶぶっと潤は笑った。
「…ばあちゃんに何、相談してたの…?」
「え…いや、別に…」
なんでバレてるんだ…
「リーダーがあそこに座り込んでるなんて、ばあちゃんになんか相談してたんだろ?」
だからなんでわかるんだ。