第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「ばあちゃんはさあ…旦那さんのこと一生好きだったんだよな…すげえなあ…」
一生、ひとりの人を思い続けるってどんな気持ちなんだろ。
ましてや、それが亡くなった人で…
「すっげえ、強いんだね。ばあちゃん…」
俺なんか、翔ちゃんのことがわからなくて、こんなふうに弱音を吐いてるのにさ…
「俺ぇ…頭わるいから、なんもわかんねーよぉ…」
ぼふっと後ろにひっくり返って、天井を見上げた。
なにか悩んでたり、心にひっかかってるとしたら。
そりゃもう解決してあげたいと思うし、力になりたいと思う。
でも俺、あんまり頭良くないから、やっぱり直接いってもらわないと…
「わかんねえよお…」
座布団を抱えて畳の上をゴロゴロしてたら、そのまま寝てしまったらしい。
目が覚めたら、リビングに居た。
「あれ…」
コンタクトがカピカピになってて、目がよく見えない…
ゴシゴシ擦ってたら、ポンポンと頭を撫でられた。
「よく寝てたじゃん」
「あえ…?潤?」
「なんであんなとこで寝てんだよ…風邪ひくだろ?」
「んー…寝るつもりは…なかったんだけどね…」
「ほんと、どこでも寝るんだから…」
クスクス笑いながら、コーヒーの入ったマグカップを差し出してきた。