第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
座敷には、お仏壇を置いておけるスペースがあったが、俺たちが入居した時には何もなくって。
ばあちゃんが亡くなる前に、お仏壇は魂抜いた上で処分したんだって。
だから去年の今くらいの時期に、そこに小さなお仏壇を設置して、ばあちゃんの写真を置いてる。
戒名と宗派を調べて、ちっちゃなご位牌も作った。
一緒に、旦那さんのも。
それは、翔ちゃんがそうしなよって言ってくれたおかげで。
同じように、翔ちゃんが言ってくれて、座敷に神棚も設置した。
ほんと…そういうとこ、よく気がつくんだよなぁ…翔ちゃん。
やっぱ、ばあちゃんが俺にこの家を遺してくれたから…
だから今の俺たちがいるわけで。
ばあちゃんの旦那さんの親戚の人は、居るにはいるんだけど血筋が遠いとかで、結局俺にこの家が回ってきたっていうのもあるけど…でもやっぱり決め手になったのは遺言状だった。
だから、感謝しないとねってみんなで常日頃言ってるんだけどさ。
お仏壇とかさ、家を守る神棚ってとこまでは気が回らなくてさ。
お仏壇はそれでも、坊さん呼んだりしてちゃんと魂入れってやつをしたわけじゃないけどさ。
でも、やっぱりここにばあちゃんが居たっていう証っていうかさ…
お蔭で、そんなばあちゃんにこうやって時々弱音を吐いたりすることもできるってわけ。