第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
愛や恋ねえ…
植源さんによると、愛だの恋だのってのはどんな人間でも悩むことだし、人間の一番根っこの部分だけど、頭のいいヤツほど悩むんだそうだ。
『愛してる』『好きだ』だけで良いことなのに、頭がいいから余計なことで悩むんだってよ。
確かに…前に翔ちゃんが悩んで壊れちゃったときは、そんな感じだったなあ…
「すげえな…植源さん…」
相葉ちゃんは『好き』がストレートだし…
潤もそう。
和也はちょっと捻くれてるけど、でも言うべき時はきっちりと押さえてくる感じ。
翔ちゃんは…素直なときもあるけど、そうじゃないときもある。
素直じゃないってわけじゃないけど…
一歩、引いちゃうときが多いかな…
座敷に掃除機を掛けながら、ぼんやりと考えてみた。
愛だの恋だので悩んでるとして…
俺たちは順調だし、喧嘩してるわけでもない。
だとしたら…
他の人のことで悩んでる?
「まさか…」
他に、好きな人できた…?
ぶんっと頭を振って、考えを追い出した。
「そんなわきゃねーわ…」
俺たちが、どんな思いしてここまで来たか…
ふと、仏間に置いてあるばあちゃんの写真が目に入った。
「ばあちゃ~ん…」
掃除機を止めて、思わずそこに座り込んだ。
「俺ぇ…わかんねーよ…」