第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
俺も自分のたばこを取り出して一服した。
今日は暖かくて。
陽の光が明るくて、風はちょっとあるけど気持ちいい。
ぼけっとお茶を飲んでいると、植源さんが俺の顔をしげしげと眺めた。
「坊っちゃん、仕事が忙しいのですかい?」
「え?ああ…そうだね。他のメンバーはみんな忙しいよ」
「坊っちゃんは?」
「俺は、勉強しなきゃいけないから…」
「ほう…あれですかい?」
植源さんはハンドルを握る真似をした。
「そう…船舶免許…二級で十分なんだけどさ、やっぱ一級挑戦しろって言われてて…」
そんなこと言われても、勉強嫌いで高校を3日で辞めちゃった俺だ。
どうやって勉強したらいいかなんてわからない。
何から手を付けていいやらわからないまま、日だけが過ぎていく。
「それにさ…来月から20周年のツアー始まるから、今いろいろ振り付けも考えてるんだけど、なんか煮詰まっちゃってさ…」
「そうでしたねえ…あにばーさりぃいやあってやつですかい?それが終わったら…オリンピックの年だ」
「そうなんだよ…もう、忙しくてしょうがない時期にこれからはいるんだよねぇ…」
先の予定は3年先までいっぱいで。
もちろんオリンピックがひとつの区切りにはなってるんだけどね。