第7章 柔らかな刺
とぼとぼと病院から歩いて駅に向かう。
俺のこと…皆、好きって…
俺が和也を好きなように、皆が俺のことすきってことだよな…
そんな風にみたことなかった。
和也への思いに必死で。
ずっと湧き上がってたものを、俺は無理やり押さえてた。
今までは、それでなんとかなってた。
仕事で会えるだけで、充分だった。
でも、和也が俺の家にきてくれたその時から、俺達は動き出して…
和也から、キスをくれた。
唇に思わず触れる。
歩きながら、なにしてんだろ。
ここに、相葉ちゃんのも翔ちゃんのも触れた。
ぐっと唇を引き結ぶ。
がやがやと煩い街中で、ふいに立ち止まってしまう。
相葉ちゃんの目は、翔ちゃんの目は、潤の目は。
切なくて…
俺の言葉一つで、あいつら地獄に落ちちゃうんじゃないかって思って…
でも…俺が一番大事なのは和也で…
それは変えようもない事実で。
翔ちゃんが、家に住む。
ばあちゃんの家に、どんどん住人が増える。
俺、どうしたらいいんだろう。
狭いビルの隙間から、空を見上げた。
今日は突き抜けるような晴天で。
空が、青い。