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天は藍よりも青く【気象系BL小説】

第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く





ジョボジョボと水道から出る水を眺めながら、いろいろ考えた。

「どあっ…」

気がついたら、ジョウロから水が溢れてて焦った。
きゅっとカランを締めると、よっこいせっとジョウロを持ち上げて温室に入った。

今、仕事が一番スカスカなの俺だから、水やり当番を引き受けてるんだ。

今日は俺だけオフだから、ひとりだ。
船舶免許の勉強しろって言われてるけど、やる気にならない…
だから庭の世話をすることにした。

温室の植木鉢に水を遣りながら、翔ちゃんのこと考えてみたけどさっぱりで。
つか、俺、こういうの苦手なんだよなあ…

人の気持ちっていうの…?
そういうのを想像するってことがさ。

思いやりとはまたそれは別だと思うんだ。
その人の立場に立って考えるってことで…

台本は、答えがそこに書いてある。
「どういう出来事があって」「どういう人物で」「どういう環境で」
ある程度の答えはそこに書いてあって、もしも一人でどうしてもわからなかったら、監督や演出に聞けるし相談できる。

そうやって、役の人物がどう感じているのか想像することはできるけど…

実際の人のことなんて…俺、わからない。

だって、俺自身が昨日思ってたことと違うことを思ってたり…
去年まで嫌いなものが食べられるようになったり。
昨日まで嫌いだった人が、なんとなく今日好きになったり。

そういう風に変化するから、人のことなんて…
わかるはずないんだよね。

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