第7章 柔らかな刺
「迷惑…かけらんないと思ったんだ…」
「だから…それで黙ってたことがいけないって言ってんだよ…」
「うん…」
「これからは、俺達も協力すっから」
「うん…ありがと…」
「一緒に、頑張っていこうな。潤…」
「リーダー…」
潤の目が潤んだ。
俺に向かって手を伸ばす。
え?手、握るの…?
そっと手を握ると、潤が微笑んだ。
「優しすぎるよ…リーダー…」
俺は翔ちゃんの言葉を思い出した。
潤も俺を好きだと。
突然俺はパニックになった。
そっと手を離した。
「じゃ、じゃあ俺、行くから」
「うん…ありがとうね」
「お大事にな」
病室を出ると、汗をかいていた。
汗を拭きながら廊下を歩いていると、向かいから翔ちゃんが歩いてきた。
俺の顔を見ると、微笑んで歩み寄ってきた。
「智くん、きてたんだ」
「うん。翔ちゃんは今きたの?」
「うん。あ、俺、明日引っ越すから」
「え?」
「ニノは良いって言ったよ」
「ちょっ…ちょっと待って!」
「じゃあ、また明日」
翔ちゃんは振り返らない。
すたすたと歩いて潤の病室へ消えていった。
まじかよ…
スマホを取り出して和也に電話した。
仕事中だから繋がらなかった。
ため息が出た。