第27章 特別短編 王様だーれだ?
「だめだよ…エプロンつけるんだから」
にやっと笑って、白いエプロンを手に取った。
「家の台所でエプロンしてる翔ちゃん見てて、一回見てみたかったんだよね」
もう…家で言えばいいのに…
そう思って智くんの顔をみたら、俺の前髪をかきあげてくれた。
「んふ…言ってもしてくんないでしょ?最近翔ちゃん、下になってくれないじゃん」
「そんなことないもん…」
ずっと、ニノといるじゃん…
ニノのドラマの撮影が始まってから、あんまり二人でいる時間もないみたいだから、なるべく家にいるときは遠慮してた。
だから、必然的に俺たちとそういう雰囲気になることもなくて。
ぎゅっと智くんの腕を握った。
「最近、ニノが忙しいから…邪魔したくなかっただけ」
「翔ちゃん…」
ちょっとだけ驚いた顔をして…
それからニコっと笑った智くんは、俺の額にちゅってキスしてくれた。
「また、そんなかわいいこというんだから…」
ぐりぐりと額を押し付けてきたと思ったら、ぎゅっと俺のこと抱きしめてくれた。
「遠慮なんてしなくていいのに…今更」
そう、いまさら…
今更なんだと思う。
あれだけ俺たちは、全員で愛し合ってる。
でも…
やっぱり智くんとニノは特別だから…