第6章 蝶
そのまま台所に行った。
水をコップに汲むと、一気に飲んだ。
和也の痛がる顔が辛くて…
なにもできなかった。
っていうか…入れるとこ、あそこしかねえよな…?
他の穴なんてねえよな…?
どうしてあんな痛いんだろ。
どうやったら痛くなくできるんだろ。
考えてたら、後ろに翔ちゃんが立ってた。
「智くん…そんな格好で…」
とりあえず、アトリエにあったTシャツと、作業用のハーフパンツを履いてた。
4月にはまだ寒い格好だ。
そっと翔ちゃんが羽織っていたウールのカーディガンをかけてくれた。
「ありがと…」
相葉ちゃんと違って、上手く翔ちゃんの顔を見れなかった。
「智くん…」
「なに…?」
「こっち、向いてよ?」
「いやだ…」
「…嫌いになった…?」
「別に…」
「智くんが…いけないんだよ?」
「え?」
「みんな…智くんのことが…」
語尾が消えた。
振り返ると、翔ちゃんは泣いてる。
なんで…?
「好きなんだよ…?潤も…」
「え?だって…翔ちゃん…潤と…」
「潤と俺は…智くんが好きなんだよ?雅紀だって…だから…」
「だから…?」
先を聞くのが恐ろしかった…
「3人で慰めあってた」