第6章 蝶
「なぐさ…」
「智くんが…ニノのこと好きなの、みんな気づいてたよ…でも…みんな、智くんのこと…」
「ま、まって翔ちゃん…まって…」
「ずっと好きだったんだよ…」
「翔ちゃん…」
翔ちゃんは涙を拭くと、俺にまっすぐ目を向けた。
「俺もここに住む」
「は?」
「俺も雅紀みたいに、ここに住むから。ニノにそう言っとくから」
「ちょっ…ちょっと待て!これ以上は無理っ…」
ここではっきり断っておかないと、また相葉ちゃんみたいなことになるっ…
「だから、ニノに俺が言っとくから」
一言一言はっきりと…
翔ちゃんは言うと、相葉ちゃんの部屋へ戻っていった。
頭がぐるぐるする…
俺は部屋に上がって、服を着替えた。
いくつか服をみつくろって、またアトリエに降りた。
扉を開けると、伝熱ヒーターに当たりながら、和也が縮こまって寝てた。
「和也。服持ってきたよ」
「ん…ありがと…」
そっと起き上がらせると、俺の肩に頭を載せた。
「ごめんね…痛がって…」
「ううん…気にするなよ…」
シーツにくるまった和也はまるで蝶のさなぎのようだった。
でも…
うとうと眠って、殻からはまだ出てこない。