第6章 蝶
アトリエに入ったら、鍵をかけてソファに和也を横たえた。
「さ…さとぉっ…」
泣きながら俺にしがみついてくる。
「ごめん…ごめんな…俺…流されて…」
「ううん…気持ちよかった…」
「へ?」
「だからいい…」
「ばか…」
俺もぎゅっと抱きしめて、髪を撫でた。
「あんなことしなくたって、俺達…好き同士だもんなぁ…和也…」
和也が顔を上げた。
俺の顔をまじまじとみた。
「な、なんだよ…」
「智も…そんなこと言うんだね…」
そういうとにっこり笑った。
あんまりかわいい笑顔だったから…
また俺は元気になった。
どうしよう。
一回触ったら止まらないや…
「和也…」
「ん?」
「好きだよ…」
やっと…ちゃんと言えた。
「さと…俺も…好き…」
「うん…」
「うん…」
俺達はおでこをくっつけた。
なにかを確かめるように、ずっとそのままの姿勢でいた。
アイツらは追っかけてこない。
そっと和也を一緒に持ってきたシーツで包んだ。
「まだ寒いからな…」
「あっためて…?」
「……いいの?」
「…うん…」
消え入りそうな小さな声で言うと、和也は俯いた。