第20章 特別編 シラユキヒメ
「俺は…智が好きだよ」
ぎゅっと俺の胸に顔を埋めた。
「世界で一番、好きだよ…」
胸の奥がじんわり温かくなった。
和也の身体に腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
和也の髪に顔を埋めながら、幸せな気分に浸った。
「…俺もだよ」
和也がゆっくりと顔を上げた。
俺の目をじっと見つめると、目を閉じた。
顔を傾げて、ゆっくりと近づいてきたと思ったら、唇が重なった。
重なるだけの、温かいキス。
暫くそのまま、和也の体温を感じていた。
徐ろに離れていくと、寂しくなった。
「…なんて顔してんのよ。さ、寝よ?」
「うん…」
和也を抱っこして、ベッドに寝かせた。
隣に滑りこむと、腕枕をした。
「おやすみ…和也」
「おやすみ、智」
暫くすると、規則正しい寝息が聞こえてきた。
和也の眠りの邪魔をしないように、そっと身体を抱き寄せた。
髪に顔を埋めて、和也の匂いを吸い込む。
愛おしい香りがした。
和也…和也…
「…愛してるよ…」
そのまま電気を消して、目を閉じた。
このまま、時間が止まってしまえばいい。
なんて、柄にもないことを思った。